*1 宮内庁楽部
宮中の雅楽を伝承している機関。「宮内庁式部職楽部」の略称。701年に雅楽を管掌する「雅楽寮」が設置された。明治維新後に雅楽局、雅楽課、雅楽部と改称し、1921年に「楽部」に改められた。宮中の儀式などの雅楽を担当し、55年に国の重要無形文化財に指定された。
楽師になるには中学卒業後、試験を受けて「楽生」として宮内庁楽部に入り、7年間実技と知識を学んだ後、正式に採用される。楽師は雅楽の継承が使命だが、西洋音楽も学び、皇室の晩餐会などで演奏するほか、雅楽の装束や楽器、面などの継承にも携わる。
*2 『秋庭歌(しゅうていが)』
1973年、武満徹作曲の17人編成の現代雅楽。国立劇場で初演。この演奏が好評を博し、79年に、29人編成の6楽章からなる『秋庭歌一具(しゅうていがいちぐ)』が生まれた。雅楽で「一具」は、多楽章形式の曲において、所定の楽章が全部揃っている形をいう。芝祐靖は国立劇場のインタビューで『秋庭歌一具』について、「雅楽の曲の作りではない音の構築で出来たもの」と述べ、この曲との出合いが「伶楽舎への布石になった」と語っている。
*3 唱歌(しょうが)
雅楽の管楽器は楽器を持たずに膝を叩いてリズムを取りながら歌い、旋律を覚える。唱歌は楽器ごとに異なり、例えば『越天楽』の初めは笙では「ボ〜オ〜、イイイチ、オツ〜〜」。篳篥は「チ〜ラ〜ロ〜ルロ、タ〜アルラ〜」。弦楽器に唱歌はない。
*4 『One⁹』
1991年にジョン・ケージが笙のソロのために宮田まゆみとの共同作業で作曲した作品。作曲のための道具としてコンピュータにプログラムされた易を用い、易によって選び出された音と時間設定を組み合わせるチャンス・オペレーションによる偶然性によって生み出されたもので、10数分の小曲10曲で構成。
*5 『越天楽(えてんらく)』
雅楽の中で最も知られた曲目。舞は絶え、管絃で演奏される曲のみが伝わっている。
*6 楽家(がっけ)
代々、雅楽を継承して来た楽人を出した家。
伶楽舎雅楽演奏会 武満徹「秋庭歌一具」
(2016年11月30日/東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル)
撮影:JSouteyrat