飴屋法水

飴屋法水

飴屋法水 Norimizu Ameya

1961年生まれ。78年、アングラ演劇の中心的存在だった唐十郎主宰の「状況劇場」に参加し、音響を担当。84年「東京グランギニョル」を結成し、カルト的な人気を博す。87年「M.M.M」を立ち上げ、メカニックな装置と肉体の融合による『スキン/SKIN』シリーズでサイバーパンク的な舞台表現を固める。
90年代は舞台から美術活動に移行しながらも、人間の身体に一貫してこだわり続け、輸血、人工授精、感染症、品質改良、化学食品、性差別などをテーマとして扱い、「TECHNOCRAT」という名のコラボレーション・ユニットの一員として作品を制作。95年、ヴェネツィア・ビエンナーレに「パブリック ザーメン」で参加するが、その後美術活動を停止。同年、東京・東中野に「動物堂」を開店し、様々な生物の飼育と販売を開始した。97年に出版された『キミは動物(ケダモノ)と暮らせるか?』(後の文庫化では『キミは珍獣(ケダモノ)と暮らせるか?』とタイトル変更)は、様々な珍獣の特徴や飼育に関する情報を提供しながらも、それだけにはとどまらず、飴屋が数々の動物と生活を共にする中で見えてきた人間や動物についての数々の考察を含んでいる。
2005年には、それまで休止していた美術活動を、「バ  ング  ント」展で再開。「消失」をテーマとしたこの展覧会のメインとなる作品は、飴屋自身が閉じ込められた1.8メートル四方の白い箱。最小限の通気のみが許された箱の中の闇にこもる飴屋と、外部の人間のコミュニケーション手段はノックのみ。24日にわたる会期を、飴屋は必要最低限の水や流動食を携え、箱の中で過ごし、他者には見えなくなった自らの存在を作品の本質的構成要素とした。2007年、静岡県舞台芸術センター主催「SPAC秋のシーズン2007」では、演出家として演劇活動を再開。オーディションで選ばれた静岡県内の現役女子高校生18人を起用した『転校生』(平田オリザ作)で好評を博した。
日本に移住した外国人を起用した『4.48サイコシス』、夢の島を舞台にしたロメオ・カステルッチとのオムニバス野外劇「じ め ん」など、4年連続でフェスティバル/トーキョーに参加。2012年に大分県国東半島をフィールドワークしたツアー・パフォーマンス『いりくちでくち』(テキスト・朝吹真理子)を発表。演劇活動に加え、現代美術のアーティストや音楽家などと組んだ実験的な活動を展開。2013年に東日本大震災で被災したいわき総合高校総合学科の生徒たちとつくった『ブルーシート』を発表し、第58回岸田戯曲賞受賞。