Artist Interview アーティストインタビュー

撮影:篠山紀信
Ten years as a theater’s residential dance company
Noism’s decade of achievement
dance
劇場専属舞踊団の10年 Noismが積み重ねたもの
金森 穣(舞踊家/Noism芸術監督)
2004年、りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館が、当時29歳の金森穣を舞踊部門芸術監督に迎えて設立した劇場専属舞踊団Noismが10周年を迎えた。公立ホールに舞踊部門があることも稀な日本において、舞踊家を年間雇用し、創作環境を提供するという劇場専属舞踊団の取り組みは、設立当初から日本中の注目を集めてきた。建築家の田根剛と組んだ迷路のようなセットで即興的パフォーマンスを繰り広げた『SHIKAKU』(2004)、現代美術家の高嶺格と組んだ『black ice』(2004)、音楽家のトン・タッ・アンと組み、まるでマネキンのように無機質で硬直化した身体を出現させた代表作『NINA─物質化する生け贄』(2005)など実験的な作品を立て続けに発表。プロフェショナルな身体性を追求する姿勢と先鋭的な問題意識でコンテンポラリーダンス界をリードしてきた。また、『Triple Bill』を皮切りに外部振付家の招聘企画にも着手。2008年には小空間での演劇的な表現にアプローチする見世物小屋シリーズをスタートし、文楽の動きをモチーフに創作した1作目の『Nameless Hands〜人形の家』で第8回朝日舞台芸術賞舞踊賞を受賞。2009年には若手舞踊家の育成を目指した研修生カンパニー・Noism2を設立(2013年に専属振付家兼リハーサル監督に山田勇気が就任)し、翌年に「劇的舞踊」と題した合同公演『ホフマン物語』を発表するなど、着実に作品の幅を広げてきた。「100年先の劇場文化を育てていきたい」という金森に10年を振り返ってもらった。
聞き手:乗越たかお[舞踊評論家]