Artist Interview アーティストインタビュー

Ikko Tamura of Dairakudakan,
at play with the butoh body
dance
舞踏の身体を遊ぶ
大駱駝艦の田村一行
大駱駝艦は、1972年に麿赤兒を中心に結成された日本を代表する舞踏カンパニーだ。設立メンバーには錚錚たる舞踏手が参加し、後に麿の考え方である「一人一派」により多くの舞踏集団がここから誕生した。来年で40周年を迎えるが、そうした「一人一派」の精神はいまも健在で、1998年に「壺中天」と名付けた新たなスタジオがオープンしたのをきっかけに、「戯族シリーズ」(1999年〜2000年)、「壺中天公演」(2001年〜)という若手舞踏手がしのぎを削るスタジオ公演を精力的に展開してきた。
ちなみに壺中天とは、「別天地・別世界」「自らをうつす壺の中の世界」といった意味で、中国の歴史書「後漢書」からの出典。今年で10周年を迎える壺中天公演では、これまで村松卓矢、向雲太郎、我妻恵美子、塩谷智司、奥山ばらば、鉾久奈緒美など志しある18名の舞踏手たちが自らの企画・振付・出演により38作品を発表。2002年、2003年には壺中天ニューヨーク・ジャパン・ソサエティ公演、2006年韓国公演、2007年、2008年にはフランス公演を行うなど海外にも進出している。
その若手の別天地の新星が、1976年生まれの田村一行だ。1998年に入艦した田村は、2002年に壺中天ではじめて創作した『舞踏のリベルタン』でその年の舞踊批評家協会賞新人賞を受賞。緻密な演出と天真爛漫な舞踏手としての個性を発揮して注目を集め、舞踏だけでなく、ジョセフ・ナジ振付作品、宮本亜門、渡辺えり、白井晃、小野寺修ニ演出作品などへの出演や国内外でのワークショップなど活躍の場を広げている。麿赤兒のマニアを自任し、「この世に生まれ入ったことこそ大いなる才能とする(天賦典式)」という師匠の教えを謳歌する彼の舞踏への道程を聞いた。
聞き手:乗越たかお[舞踊評論家]