コクーン歌舞伎
十八代目中村勘三郎が、若者の街・渋谷から歌舞伎を発信したいと、串田和美らとともに東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンで1994年から行っている歌舞伎公演。勘三郎率いる歌舞伎役者・歌舞伎囃子のほか、現代劇の俳優・笹野高史、電子音楽パフォーマンスの朝比奈尚行らが演目ごとに加わり、自由で斬新なアイデアに満ちた新演出で話題を呼んでいる。これまでに上演した演目は『東海道四谷怪談』『夏祭浪花鑑』『盟三五大切』『三人吉三』『桜姫』。同シリーズは回を重ねるごとに新たな歌舞伎ファンを増やしている。
平成中村座
十八代目中村勘三郎が、江戸時代(17世紀)に実在した芝居小屋「中村座」のような古き良き歌舞伎の雰囲気を平成(今の日本の元号)の現代に再現したいと、野外に仮設小屋をつくり、2000年から取り組んできたプロジェクト。これまで『義経千本桜』『加賀見山再岩藤』『弁天娘女男白浪』『本朝廿四孝』『人情噺文七元結』『法界坊』などの古典演目を現代演劇の演出家・串田和美による新演出で上演。2004年には初の海外公演をニューヨークで行い、リンカーンセンター前の広場に東京・浅草隅田川沿いに設置した芝居小屋をそのまま移設して話題となった。2007年夏にニューヨーク、08年にヨーロッパ公演が予定されている。
Bunkamura
東急グループが運営する民間の複合文化施設。1989年オープン。東京の中心地の一つである渋谷に立地し、2150席のホール(オーチャードホール)、747席の劇場(シアターコクーン)、美術館、映画館などがあり、舞台芸術の発信源の一つとなっている。初代芸術監督は串田和美(89年〜96年)。現在は蜷川幸雄が芸術監督を務めており、蜷川作品の東京公演の拠点となっているほか、小劇場出身の気鋭の劇作家・演出家を登用し、テレビや映画でも活躍する俳優をキャスティングした話題作を発表している。
http://www.bunkamura.co.jp/
松竹
映画配給と、歌舞伎を中心に新派、松竹新喜劇など演劇の製作・興行を行う民間企業。1895年創業。本社は東京都中央区にある。歌舞伎座、新橋演舞場、大阪松竹座などを運営する。
状況劇場
1963年に唐十郎らが旗揚げ。67年から、「紅テント」公演として新宿花園神社を皮切りに全国各地で野外のテント公演を行う。小劇場演劇の第1世代としてアンダーグラウンド演劇の先頭を走る。88年に解散し、現在は劇団「唐組」として活動。
『盟三五大切』
四世鶴屋南北作。1825年に江戸中村座で初演。深川の芸者をめぐる男たちの怨恨に満ち、陰惨な殺し場に見どころが詰まった物語。コクーン歌舞伎では第3回(1998年)で上演された。
『夏祭浪花鑑』
並木千柳、三好松洛・竹田小出雲の合作。1745年大坂竹本座で初演。出牢したばかりの団七が恩師への忠誠を尽くすため、義父の義平次とも殺し合いをしてしまう侠客の意地と粋をみせる物語。当時の大阪浪花の夏の風情が漂う。コクーン歌舞伎では、第2回(1996年)、第5回(2003年)で上演。2004年には「平成中村座」ニューヨーク公演でも上演された。
『三人吉三』
河竹黙阿弥作の世話物。1860年に江戸市村座で初演。吉三と名乗る三人の盗賊とその親兄弟が100両の金と庚申丸という刀をめぐる、人間関係の因果を描いた物語。コクーン歌舞伎では、第4回(2001年)と第8回(2007年)で上演。
『東海道四谷怪談』
四世鶴屋南北作の世話物。1825年に江戸中村座で初演。「忠臣蔵」の世界を下敷きに、お岩という女の亡霊となったのちのすさまじい執念を描く。見せ場の多い怪談狂言の傑作として知られる。コクーン歌舞伎では、第1回(1994年)、第7回(2006年)で上演された。
『法界坊』
奈河七五三助作の世話物。原題は『隅田川続俤』。朝廷から預かった一軸の所在と娘の結婚をめぐる武家のお家騒動のなか、乞食の僧侶「法界坊」が各所で悪事をはたらく様子を歌舞伎には珍しい喜劇として描いた作品。ついには殺されてしまう法界坊の不運をもコミカルに描き、亡霊となった後も見事な舞踊を魅せて幕を閉じる。浅草・隅田川沿いに仮設劇場を建てた「平成中村座」は、隅田川を舞台にするこの演目で杮落としをした。2007年夏にはニューヨークで上演される。
『桜姫』
四世鶴屋南北作。『桜姫東文章』として1817年に初演。下郎・権助に犯され、女の本能に翻弄される桜姫が、身分の違う権助と結婚するために高貴な暮らしを捨てて女郎へと転落していく物語。コクーン歌舞伎では、第6回(2005年)で上演。
まつもと市民芸術館
長野県松本市が運営する公立文化施設。2004年開館。館長兼芸術監督に俳優・演劇家の串田和美を迎える。馬蹄型の主ホール(1800席)、小ホール(288席)、仮設ロールバック式の実験劇場(360席)を備える。設計は日本を代表する建築家のひとり伊東豊雄。国際的なクラシック音楽フェスティバル「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」の主要会場のひとつ。
http://www.mpac.jp/index.html