鈴木忠志

鈴木忠志

鈴木忠志 Tadashi Suzuki

1976年、鈴木忠志と早稲田小劇場(現・SCOT)が富山県利賀村(現・南砺市利賀村)に本拠地を移してから40年余り。山奥の過疎村に残された合掌づくりの農家に演劇的インスピレーションを得て、劇場「利賀山房」を開いたのをきっかけに、今やここは4つの劇場・訓練施設、2つの野外劇場、スタジオ、何棟もの宿泊施設(計200人収容)などが集積した国際的な舞台芸術の拠点として再生した。当時、約1,500人だった村の人口こそ500人を切るほどに激減したが、利賀村一帯の交流人口は年間20万人を超え、各国の演劇を学ぶ人々が滞在し、昨年夏のSCOTサマー・シーズン(2週間にわたってSCOT作品の連続公演などを展開)には国内外から延べ7,000人がこの地を訪れている。
その利賀村とサンクトペテルブルクの国立劇場を主会場に、日本とロシアの共同開催として行われるのが「第9回シアター・オリンピックス」(日本開催:2019年8月23日〜9月23日)だ。言うまでもなく、鈴木はスズキ・トレーニング・メソッドで世界的に知られる演出家であるだけでなく、1982年に日本初の世界演劇祭「利賀フェスティバル」を立ち上げてから、「シアター・オリンピックス」(93年創設)、日中韓共同による「BeSeTo演劇祭」(94年創設)など、芸術家が主導する演劇祭を構想・実現してきたアクティビスト。