田中大喜

田中大喜

© Yuichiro Kariya

田中大喜 Hiroki Tanaka

岩手・黒森神楽 神楽衆
2011年3月11日の東日本大震災から2年。未曾有の被害を受けた東北地方は、民俗芸能の宝庫として知られ、中でも岩手県には1000を超える民俗芸能が伝えられてきた。その中の一つ、黒森神楽は宮古市の黒森神社を中心に、三陸沿岸を北は久慈市から南は釜石市までの広い範囲を数カ月かけて集落から集落へと巡行する神楽として知られている。その貴重さから、2006年には国の重要無形民俗文化財に指定された。この震災によって黒森神楽もまた、巡行先で彼らを迎え入れる神楽宿を多数失い、400年続いた伝承に警鐘が鳴らされた。しかし、彼らは地元の人々を元気づけようと各地で神楽を上演。また、国際交流基金や文化庁の支援を受けて、ロシア、フランス、アメリカに出かけ、困難にも負けない日本の民俗芸能魂をアピールし、支援を寄せてくれた各国の人たちに感謝の巡行を行ってきた。民俗芸能は地域住民を繋ぐコミュニティの柱であり、その再生は復興に欠かせないものだ。