ミロ・ラウ
Ⓒ Marc Driessen
ミロ・ラウ Milo Rau
1977年スイスのベルン生まれ。演出家、作家、映画監督、ジャーナリスト、アクティビスト。2007年から「政治殺人国際研究所(IIPM)」を主宰。実際に起きた凄惨な犯罪や紛争、歴史的事件などについて綿密なリサーチを行い、舞台や映像のマルチメディアで再現しながら、その社会構造や政治的背景を露わにし、関係者に対する告発や観る者への問題提起を行う。90年代にベルギーで起きた少女監禁殺人事件を再構成しつつ、ベルギー国民のトラウマとされるかつてのコンゴ植民地問題や演劇のセカンドレイプ構造を暴く『5つのやさしい小品』(2016年)、2018年からベルギーのNTゲント芸術監督(~2024年)として「ゲントのマニフェスト」に則り制作された、現実の諸問題にギリシャ悲劇を重ねた三部作——『モスルのオレステス』(2019年初演。過激派組織ISに占拠・破壊されたイラクのモスルの人々とともにアイスキュロス『オレステイア』を上演)、『アマゾンのアンティゴネ』(2023年初演。大豆栽培のためアマゾンの森林を伐採する国家と労働者の抵抗をソフォクレスの『アンティゴネ』に重ねる)、『メディアの子どもたち』(2024年初演。エウリピデスの『メディア』を彷彿させる2007年に起きた母親による5人の子殺し事件を子どもたちが再現し発言する)——などの舞台作品、同様の設定によりテーマとなる現地に乗り込み撮影した『コンゴ裁判』(2015)、『The New Gospel – 新福音書 –』(2021)などの映像作品がある。2023年7月ウィーン芸術週間の芸術監督に就任。その後もNTゲントにはレジデント・アーティストとして在籍中。(2024年10月更新)
