松尾スズキ

マシーン日記

2005.05.17
松尾スズキ

松尾スズキSuzuki Matsuo

九州産業大学芸術学部デザイン科卒業後上京し、会社員、イラストレーターとして働いた後、1988年に「大人計画」を旗揚げ。業の深い主人公たちが活躍する独自の世界と、個性的な俳優陣により若い世代に強烈にアピールし、90年代小劇場演劇シーンのトップランナーとなる。1997年『ファンキー!〜宇宙は見える所までしかない』で岸田國士戯曲賞受賞。外部の俳優と公演を行なうプロデュースユニット「日本総合悲劇協会」での活動の他、小説家、エッセイストとしても活躍。俳優としての外部出演も多い。

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マシーン日記

『マシーン日記』
(2001年) 撮影:田中亜紀

Data :
[初演年]1996年
[幕・場面数]6場
[キャスト数]4人(男2・女2)

 舞台はアキトシ(兄)とミチオ(弟)のツジヨシ兄弟が経営する工場と、ミチオが監禁されているプレハブ小屋。ミチオは公務員のサチコを強姦したためにプレハブ小屋に監禁され、電気製品の修理をさせられている。アキトシはその責任をとって、サチコと結婚したのだ。しかし、実はサチコはミチオに強姦されたとは思っておらず、むしろ好意をよせていたが、勝手に責任を取ると言い出したアキトシと結婚させられていた。そこに、サチコの中学時代の担任で体育教師であったケイコがパートとして働きに来る。ケイコは曖昧さを拒絶し、全てを数字的に解釈しようとする、機械フェチである。ケイコはミチオに興味を示し、すぐ性交渉に及ぶ。ミチオが、修理した電化製品に盗聴器を仕込んでいる事を知ったケイコはさらに「クズ」として、ミチオを見込む。価値のあり方のわからない男よりも、分かりやすく、価値がゼロの男にケイコは惹かれるのだ。ケイコはミチオに自らを3号機と呼ばせ、SEXでいかせるかぎり、何でも言うことを聞く機械となることを宣言する。

 一方アキトシは手の指が6本ある躁状態で暴力的な男で、ペットのワニに睾丸の一つを食いちぎられて以来、気味悪がるサチコと性関係が無く、サチコは日々暴力にさらされている。ミチオを巡り、ケイコとサチコが争う。ミチオと逃げる相談をしていたサチコは、小屋に入ったのがばれるのを恐れ、アキトシを金槌で滅多打ちにする。アキトシは死なず、小屋に火をつけようとするので、ケイコがワニの池に放り込む。それでも二つ目の睾丸をワニに食いちぎられただけで、アキトシは生きている。ミチオを逃がそうとしたサチコは誤ってミチオの片足を切断し、ケイコに首を折られて死ぬ。ケイコは町に飛び出し、これから生まれるミチオとの子供のために、ミチオの就職のために、ミチオがかつてイジメられっ子だったことを知る町の住民の家に次々と放火していく。

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