Presenter Interview プレゼンターインタビュー

Aim of the International Program at the Royal Court
— London’s renowned “writers’ theatre”
英国
「劇作家のための劇場」を掲げる
ロイヤルコート劇場の
インターナショナル・プログラム
サム・プリチャード
ロイヤルコート劇場(RC)は高級住宅地で知られるロンドンのチェルシー地区にあり、「劇作家のための劇場」として世界的に知られている。1956年、イタリア風建築の劇場をイングリッシュ・ステージ・カンパニーが所有してから、才能ある若い劇作家の発掘・育成と最高品質の現代劇の上演を目的とした非営利の劇場として、これまでにジョン・オズボーン、エドワード・ボンド、アーノルド・ウェスカー、キャリル・チャーチル、サラ・ケイン、サイモン・スティーヴンス、マーティン・マクドナーなど輝かしい劇作家たちを輩出してきた。
現在、RCでは毎年12本程度の新作戯曲を初演するのに加え、英国内外の劇作家を発掘するための取り組みを行い、継続的に支援している。文芸部において幅広く新作戯曲を受け付け、その数は年間約2,000本に上る。また、作家同士が戯曲について話し合い、プロの作家からフィードバックを受ける「ライターズ・グループ(Writer’s Group)」の運営も行っている。
2019年には、新たにロンドンを拠点とする大手映画・テレビ制作会社クドスと共同で作家のための奨学金制度を創設。また、18~25歳の劇作家を対象にした「リン・ガリアーノ作家賞」を主催し、受賞者には劇場から執筆料を支払う形で仕事を依頼している。
この他、世界中の劇作家やアーティストとの関係づくりにも積極的に取り組み、各国で劇作家ワークショップ(ロイヤルコート劇場インターナショナル・プログラム)を展開。日本では新国立劇場(NNTT)の芸術監督である小川絵梨子がRCを訪れたことをきっかけに、両劇場の共同プロジェクトとして19年から取り組みをスタートし、日本人劇作家14名(最終的には12名)が参加した。こうした劇作家ワークショップを主導しているRCのアソシエイトディレクター(インターナショナル)であるサム・プリチャードに「劇作家のための劇場」の精神と日本とのプロジェクトについてZoomでインタビューした。
聞き手:田中伸子