Data
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[初演年]1989年
[上演時間]1時間30分
[幕・場面数]4場
[キャスト数]18人(男7・女11)
平田オリザ
ソウル市民
平田オリザOriza Hirata
1962年東京生まれ。劇作家、演出家、青年団主宰。こまばアゴラ劇場芸術総監督、城崎国際アートセンター芸術監督。大阪COデザインセンター特任教授、東京藝術大学COI研究推進機構特任教授、四国学院大学客員教授・学長特別補佐、京都文教大学客員教授、(公財)舞台芸術財団演劇人会議理事長、富士見市民文化会館キラリ☆ふじみマネージャー、日本演劇学会理事、一般財団法人地域創造理事、豊岡市文化政策担当参与、奈義町教育・文化の町づくり監。
16歳で高校を休学し、1年半かけて自転車による世界一周旅行を敢行。世界26カ国を走破。1986年に国際基督教大学教養学部卒業。在学中に劇団「青年団」を結成。大学3年時、奨学金により韓国延世大学に1年間留学。
「現代口語演劇」を提唱し、1990年代以降の日本の現代演劇界に多大な影響を与える。海外公演に意欲的に取り組み、フランス、韓国、中国との国際共同制作も多数。2008〜2013年にBeSeTo演劇祭日本委員会委員長。また、民間小劇場のこまばアゴラ劇場の経営者として若手演劇人を育成。演劇によるコミュニケーション教育、大学における演劇教育など演劇教育分野でも目覚ましい成果を上げる。公立劇場芸術監督を務め、「芸術立国論」(2002年発行)を著すなど、国や自治体の文化芸術による公共政策をオピニオンリーダーとして牽引している。
受賞歴:1995年『東京ノート』で第39回岸田國士戯曲受賞したのをはじめ、2019年『日本文学盛衰史』で第22回鶴屋南北戯曲賞受賞するなど作品の受賞歴多数。2006年モンブラン国際文化賞受賞。2011年フランス国文化省より芸術文化勲章シュヴァリエ受勲。
青年団 公式サイト
http://www.seinendan.org/
1909年、夏、文房具店を経営する篠崎家。日本から後妻に入り、いつまでも朝鮮の生活になじめない母。自分が何をやりたいのか判らない長男。文学に青春を燃やす長女。大陸浪人をはじめとする、何をやっているのか判らない書生たち。とりとめのない話を延々と続ける女中たち。そんな篠崎家を様々な客人たちが訪れる。激動する時代の中で、一見時代とは無縁な時間が流れていく。そこで繰り広げられる淡々とした会話を通して、運命を甘受する「悪意なき市民たちの罪」を描き出す。
題名の『ソウル市民』は、ジェイムス・ジョイスの異色作『ダブリン市民』を意識してつけられた。作者の平田オリザはこの作品を、イギリス統治下のダブリンの人々の姿を描いた『ダブリン市民』を射程におきつつ、篠崎家の家族の意識の流れを表現できればと考え、一市民の発する言葉が、彼の人生とそれをとりまく時間を担いうるような作品を目指した。そして、そのような言葉によって構成された本作品には、長編小説に勝るとも劣らない内容をともなった濃密な時間が流れている。
『ソウル市民』は、すでに韓国語・英語・フランス語に翻訳されており、フランスでは Les Solitaires Intempestifs よりフランス語版(『Gens de Sul』Rose-Marie Makino-Fayolle 訳)が出版されている。『ソウル市民』の続編となる『ソウル市民1919』(作・演出:平田オリザ)も2000年に上演された。
※2005年12月にフレデリック・フィスバック(Frederic Fisbach)の演出により日本語版の『ソウル市民』を世田谷パブリックシアターで上演する予定。フィスバックは2007年のアヴィニョン演劇祭のアソシエイト・アーティストであり、演劇祭での上演も企画されている。また、2006年10月には、Arnaud Meunier演出で、フランス語版『ソウル市民』がシャイヨー国立劇場において上演される予定。
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