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2019.8.22

「チューリッヒ・テアター・シュペクターケル」がスイスで開催(2019年8月15日〜9月1日)

 1980年に創設された欧州の老舗舞台芸術フェスティバル。定期的にディレクターを交替し、2018年からマチアス・フォン・ハルツがディレクターを務める。会場は、「ランドヴァイセ」と呼ばれるチューリッヒ湖の湖畔地帯で、期間中には湖畔に複数のテント型劇場を設置。レストランなどの出店や野外パフォーマンスなども行われ、広くチューリッヒの市民に親しまれる夏の風物詩になっている。毎年5〜6名の国際審査員を招聘し、フェスティバルの最優秀作品賞「ZKBパトローナージュ賞」、15分〜25分の短編作品群を対象とした若手による最優秀作品賞「ZKB奨励賞」を選考していることで注目されている。今年、フェスティバルで上演されるZKBパトローナージュ賞ノミネート作品は次の通り。
 スコットランド出身の演出家・作曲家ジュヌヴィエーヴ・マーフィーによる音楽『Something in This Universe』、韓国のパフォーマンス・アーティストであるジョン・グムヒョンによるロボット演劇『リハビリ・トレーニング』、香港の演出家ロイス・ヌグによるアジアの無国籍高山地帯ゾミアにまつわる歴史をマルチメディアを駆使して描く『クイーン・ゾミア』、英国人演出家ポール・エヴァンズとパレスチナ・サーカス学校メンバーによるサーカス作品『サラブ』、豪州の演出家サラマ・ヘルシュとララ・トーマスによるナウル共和国の難民たちを描く児童劇『We All Know What’s Happening』、フランスのマリオネット作家で振付家のニーナ・サンテスによるドキュメンタリーと儀式の双方の要素を採り入れる『Hymen Hymne』、アラブ地方の愛にまつわる詩歌を集め創作したレバノン人振付家アリ・シャルールによるダンス作品『Layl』。
 また、ノミネート作品とは別に、リミニ・プロトコルが4人のキューバ人の若者たちとキューバ革命後の世界について語るドキュメンタリー演劇『Granma. Trombones of Cuba』、ベルギーの振付家ヤン・ロワースによる新作『All the Good』、南アフリカの巨匠美術作家ウィリアム・ケントリッジによるレクチャー、映像、ドローイングを融合した『Drawing Lesson II: A Brief History of Colonial Revolt』といった大型作品も上演される。

[フェスティバル概要]
1980年にスタートした欧州圏内外のアーティスト、カンパニーが参加するスイス・チューリッヒ最大の舞台芸術フェスティバル。チューリッヒのカントン銀行(公立銀行)による安定した財源を有する欧州の重要なフェスティバルのひとつ。フェスティバル期間中は、チューリッヒの湖畔にある公園をテント型仮設劇場と出店に開放し、市民が身近に舞台芸術にふれあう環境づくりも行う。2018年度より新ディレクターはマチアス・フォン・ハルツ。新人アーティストあるいはカンパニーを対象とする賞「ZKB Patronage Prize」(ZKBはカントン銀行の略称)を創設。30,000スイスフラン(約250万円)の賞金を授与することで未来の活動を支援し、文化への長期的視野での貢献を目指す。これまでの受賞者はStefan Pucher、400asa、Marco Berrettini、Sarah Michelson、生活舞踏工作室、Young Jean Leeなど。2010年に日本人として快快が初受賞した。2011年はcontact Gonzoがノミネート。

チューリッヒ・テアター・シュペクターケル(Zürcher Theater Spektakel)
https://www.theaterspektakel.ch/