国際交流基金 The Japan Foundation Performing Arts Network Japan

Presenter Topics プレセンタートピックス

2018.7.20

ドイツ西部の巨大舞台芸術祭「ルール・トリエンナーレ」開幕(2018年8月9日〜9月23日)

 ドイツ語圏の演劇祭でもっとも勢いのあるプロデューサーが3年毎に芸術監督に就任することで注目されるルール・トリエンナーレ。2018年度からは、チューリッヒ国立劇場のチーフ・ドラマトゥルクやウィーン芸術週間の芸術監督職を歴任してきたシュテファニー・カープが総合プログラミングの責務を担う。
 喫緊のポリティカルなアジェンダに目を向けてきたカープは、「In-between Time(時間のはざまで)」というテーマを設け、人類が前世代の生き方から未来的な生き方へ移行するはざまにいることを示唆。経済的にも政治的にも環境的にも、「劇的に生き方を変えることが、我々にはいま求められている」とカープは言う。
 こうしたテーマを象徴し、インドの哲学者ヴァンダナ・シヴァによる「地球民主主義」と題した基調講演で開幕。オープニング演目では、カープが長年ドラマトゥルクとして支えてきた演出家クリストフ・マルターラーが作曲家チャールズ・アイヴスによる未完の大曲『宇宙交響曲』を、Jarhunderthalle (世紀会館)の全館を使って舞台化する。
 また、国と国の「はざま」で生きる人々に光を当て、ブルキナファソの振付家セルジュ・エメ・クリバリ、モロッコ系仏人の美術作家ブシュラ・ハリーリなどによる作品を招聘。振付家サシャ・ヴァルツには『Exodus(大量出国)』と題した新作を委嘱。他にも、マリアーノ・ペンソッティ、ネイチャー・シアター・オブ・オクラホマ、オルー・オグイベなどによる作品も発表される。

[概要]
ドイツ西部の工業都市ボーフムを中心としたルール地方で、2002年より毎年開催されているフェスティバル。3年を1シーズンとしている。ザルツブルク音楽祭の元芸術監督で、パリ・オペラ座の現芸術監督であるジェラール・モルティエが創設者で初代芸術監督。世界的な芸術フェスティバルとルール地方の工業遺産を結びつけるというアイディアから、巨大な機械工場やコークス工場を再開発した個性的な上演会場で、年ごとのテーマのもと、演劇、ダンス、オペラ、ジャズ、ポップス、ファインアートなど実験的な上演が行われている。3年ごとにディレクターが代わり、2006年〜08年は、ザルツブルク音楽祭の演劇部門責任者で演出家のユルゲン・フリム。2009年〜11年は演出家ウィリー・デッカー。2012年〜14年は作曲家で演出家のハイナー・ゲッペルズが務めた。2015年には公立劇場ミュンヘン・カンマーシュピーレをかつて率いた演出家のヨハン・シモンズがディレクター職に着任。2018年度からはシュテファニー・カープが芸術監督を務める。

ルール・トリエンナーレ(Ruhrtriennale International Festival of the Arts)
https://www.ruhrtriennale.de/de/home/