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2018.3.14

オーストリア屈指の複合芸術祭「ウィーン芸術週間」開幕(2018年5月11日〜6月18日)

 毎年5月から6月にかけての5週間、オーストリアの首都で開催されるフェスティバル。芸術的に最高水準を保ちつつ現代社会と対話する音楽、ビジュアル・アート、舞台芸術作品をプログラミングすることを指針に掲げている。昨年度から総合芸術監督(インテンダント)を務めるTomas Zierhofer-Kinは「地元のブルジョアを攻撃するだけのアートではなく、多くの人々に手を差し伸べる作品を上演したい」と、より広い客層に向けたフェスティバルを約束している。
 今年は「フラジャイル・デモクラシー(脆弱な民主主義)」をテーマを掲げ、全30作品を紹介。特に世界中に蔓延する「不安感」や「恐怖」およびそれら負の感情の社会や個人への影響を考える芸術作品に光を当てる。上演される大作の中には、難民たちにより占拠される湖島について、官僚たちがカフカ的な議論をつづけるクリストフ・マルターラーによる音楽劇『Tiefer Schweb: A Holding Centre』、また新生フォルクスビューネのアソシエイト・アーティストでもある演出家スーザン・ケネディが、約20年前にソフィア・コッポラにより映画化もされた『ヴァージン・スーサイズ』を舞台化する。また、来日公演も多い演出家ジゼル・ヴィエンヌが、15人の若者たちと社会心理学を追求して創作したダンス作品『クラウド(群衆)』も上演される。
 ロッテルダム出身のシアター・コレクティブHotel Modernは『Kamp』と題した作品で、アウシュヴィッツ強制収容所のミニチュア模型を舞台上に構築。3人のパフォーマーたちが小さな人形たちを動かしつつ、その様を同時撮影し、なぜ人類史上最大の惨劇が起きたのかを考察していく。スウェーデンの演出家マーカス・オルンは、オーストリア人女性エリーザベト・フリッツが24年間にわたり自宅に監禁され、父親から性的虐待を受け続けていた「オーストリアの実娘監禁事件(フリッツル事件)」に着想を得た『ドメスティック・バイオレンス・ウィーン』を世界初演する。ジャン・ミシェル・ブリュイエールは米国の黒人解放運動を牽引したブラックパンサー党に着目した新作『L'Habitue (習慣)』を発表する。さらにアジアからは、シンガポールを代表する演出家オン・ケンセンが韓国国立劇場の俳優たちとコラボレーションした『トロイアの女』が招聘されている。

[フェスティバル概要]
1951年から毎年5月〜6月にかけて開催されるオーストリア最大級の国際フェスティバル。開催地は、ミュージアム・クォーター、テアター・アン・デア・ウィーン劇場、ウィーン楽友協会ホール、シャウシュピールハウス、市内の市場や広場など市全体が舞台となる。世界各国のオペラや演劇を代表する演出家や指揮者、オーケストラなどが手がける最新の舞台芸術、歴史的な演出や最新プロダクション、現代作品が上演される。2011年はリュック・ボンディを総監督に、シュテファニー・カープ演劇監督、シュテファン・リスナー音楽監督のもとで、23カ国45のプロダクションが上演され、18万人を動員。日本からはポツドール、高山明が参加。カンパニーでは1994年に第三エロチカ(『マクベスという名の男』)、2000年に維新派(『水街』)などが招聘されている。

ウィーン芸術週間(Wiener Festwochen)
http://www.festwochen.at/