国際交流基金 The Japan Foundation Performing Arts Network Japan

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2017.4.13

ブリュッセルで「第22回クンステン・フェスティバル・デザール」開幕(2017年5月5日〜27日)

 欧州で最も実験的なラインナップを揃えることで知られるパフォーミング・アーツ・フェスティバル。芸術監督クリストフ・スラフマイルダーは、世界的な拡がりを見せる「分断・差別・閉鎖」といった政策に反対。この逆行した潮流に抗い、真にコスモポリタンな演劇祭を開催することを誓い、世界中から集められた39作品(うち25作品は世界初演)を上演する。
 プログラムには、難民問題など欧州の喫緊の課題を受けて創作された作品が並ぶ。例えば、International Institute of Political Murderを率いる演出家のミロ・ラウは、2014年から発表している欧州三部作の最終章を創作するにあたり、多くの難民が流されるエーゲ海に着目。難民たちの悲劇をギリシャ悲劇と重ねた新作『Empire(帝国)』を上演する。また、シリア出身の振付家ミスカル・アルズゲアは『Displacement(強制移住)』と題したダンス作品で、故郷を喪失した自身の体験を切実に語る。
 ダンス作品が多いのも今年の特徴のひとつ。オープニング演目を飾るエスター・サラモンは、コンテンポラリーダンスと南米マプチェ族の歌と踊りを融合した祭りの儀式を創作。30年以上のキャリアを誇るブラジルの振付家マルセロ・エヴリンは『Dança Doente(Sick Dance)』と題し、土方巽の舞踏にインスパイアされた自らの老いと向き合う舞踊を展開。昨年、7時間の耐久振付作品でフェスティバルを席巻したスウェーデンの振付家マルテン・スパングベルグは、その改訂版『Natten, The Series(Overnight, The Series)』を上演する。
 今年はWIELSコンテポラリー・アート・センターとも提携し、4月20日から8月13日まで「ザ・アブセント・ミュジアム(The Absent Museum)」と題した展覧会を開催。ベルギー美術界に多大な影響を与えた象徴主義者たちから現代まで連なるアートシーンを読み解く。WIELSでは、Nàstio Mosquito(ベルギー), Lili Reynaud Dewar(フランス)、Otobong Nkanga(フランス、ベルギー)、Carsten Höller(スウェーデン)によるパフォーマンスが行われる。
 なお、日本からは現代美術家の梅田哲也が参加。ブリュッセル在住の異なる年齢の人びとに、童謡を繰り返し歌ってもらい、身体、歌、ムーヴメントが織り成す『Composite』と題したパフォーマンスを発表する。

[フェスティバル概要]
ベルギー・ブリュッセルで毎年5月に開催されているパフォーミング・アーツを中心とした現代アートフェスティバル。先鋭的なプログラムで知られ、世界の現代アート界のアンテナフェスティバルとも称されている。ベルギー国内はもとより、ヨーロッパ全域、さらには芸術支援インフラに乏しい発展途上の国々に及ぶ世界の若手アーティストを独自に発掘し、多くの作品プロデュースを行っている。また、長期的視野に立ってアーティストの育成を図るため、複数年にわたり共同制作を行うと同時に、ベルギーやヨーロッパに拠点を置く実力派アーティストの新作を製作し、世界に先駆けて発表している。世界のパフォーミング・アーツの潮流を生み出す震源地の一つ。プロデュース公演と共同製作公演が、プログラム全体の50パーセントを超え、世界初演が約半数を占める。

 2006年を最後に立ち上げから芸術監督を務めてきたフリー・レイセンが引退。それまで彼女の右腕としてプログラミングを担当してきたクリストフ・スラフマイルダーが芸術監督を引き継いだ。近年は国際交流基金の助成プログラム「PAJ」やセゾン文化財団などと協力して日本から岡田利規(チェルフィッチュ)、山下残梅田宏明前田司郎(五反田団)、神里雄大らが参加。スラフマイルダーへの本サイトによるインタビューはこちら

クンステン・フェスティバル・デザール(Kunsten Festival des Arts)
http://www.kfda.be/en