国際交流基金 The Japan Foundation Performing Arts Network Japan

Presenter Topics プレセンタートピックス

2016.3.25

2年に一度開催される英国屈指の実験的演劇祭 LIFT(ロンドン国際演劇祭)開幕(2016年6月2日〜7月2日)

 「世界中をロンドンに集結させ、ロンドンを世界に紹介する」ことを目的とした英国屈指のエクスペリメンタルな内容を誇る実験演劇祭。2009年度より、マンチェスターの実験的ライブアート・フェスティバル「Fierce!」の創設者として知られるマーク・ボールが芸術監督職に就任。大学で国際政治を学んだというボール就任以後、よりいっそう政治色の強いプログラミングが編成されている。
 2016年度のフェスティバルのテーマのひとつは「移民、コミュニティ、難民危機」。第二次世界大戦以後、史上最大のディアスポラ・クライシスに襲われている欧州の現実を映し出す演劇作品を多く上演する。特にこのテーマの一貫で、ロイヤル・コート劇場と提携し「On the Move(移動中)」と題したミニ・プログラムを編成。ドイツ、ギリシャ、イタリア、レバノン、シリア、英国の作家たちによるインスタレーションや映像、パフォーマンスなどを6月2日から11日にかけて展示する。またドイツを拠点に活躍する振付家コンスタンツァ・マカラスは『Open For Everything』と題した作品で、35人の若者たちと共に、放浪の民として知られるロマについて探求する。ギリシャのblitz theatre groupは『Late Night』で、自分たち暮らすコミュニティが、国家が、日に日に朽ちていくさまをデヴィッド・リンチのような乾いた詩情を湛えつつユーモラスに描く。
 パリのオデオン座、バービカン・センター、LIFTフェスティバルの共同制作で上演されるのはポーランド人演出家クシシュトフ・ワルリコフスキが、サラ・ケインの『フェードラの恋』を翻案して構成した『Phaedra(s)』。イザベル・ユペールが主演することでも話題だ。同時期にバービカン・センターのThe Pit(小劇場)では、日本の革命アイドル暴走ちゃんが14禁演目として2週間上演される。クロージングには、イスラエル出身の振付家ホフェシュ・シェクターがイースト・ロンドンでもっとも才能ある若手振付家・ダンサーを選抜し、ストラトフォードの屋上でナイト・パフォーマンスを行う。

[フェスティバル概要]
1980年にRose FentonとLucy Nealによってロンドン国際学生演劇祭として発足。翌1981年にポーランド、フランス、ブラジル、オランダ、マレーシア、西ドイツ、日本、ペルー、イギリスのカンパニーを集め、第1回ロンドン国際演劇祭として開催された。以降隔年開催され、2001年までに60カ国以上から重要作を招聘。イギリスの演劇シーンに国際的視野を導入し、劇場以外の都市空間を活用した斬新な上演形態でも注目される欧州有数の国際フェスティバルとなった。
2003年に芸術監督がオーストラリアのプロデューサーAngharad Wynne-Jonesに交代し、隔年開催の形態を一時休止。サウスバンク・センター、バービカン、サドラーズ・ウェルズ、ICAなどが国際プロジェクトを通年で行うようになった状況を踏まえ、リサーチや比較的小規模の通年活動に移行。公演やディスカッションに使える可動型スペース「The Lift」の建設など実験的な試みを行う。
2009年にマーク・ボールを芸術監督に迎え、2010年に隔年開催のフェスティバルとして9年ぶりに再開。サイト・スペシフィック・ワーク、体験型パフォーマンスやメディア・コミュニケーションを扱った作品、知的障害者、盲目・聾唖のパフォーマー、あるいは子どもや十代の若者によるパフォーマンスなどが大部分を占めるユニークなプログラムになっている。2012年はロンドン・オリンピック直前の開催となり、43,000人の動員を記録した。

LIFT ロンドン国際演劇祭(London International Festival of Theatre)
http://www.liftfestival.com