National Endowment for Science, Technology and the Arts (NESTA)英国
英国国立科学・技術・芸術基金
英国国立科学・技術・芸術基金(National Endowment for Science, Technology and the Arts: NESTA)は、科学・技術・芸術の3分野における個人および団体による先駆的なプロジェクトや人材育成を支える助成機関として1998年に設立された。基本財産は約3億ポンド(約6億ドル/645億円)で、その運用益と民間の寄付を合わせ、年間約1800万ポンド(2006年度/約36億円)を助成や運営費などに充てている。
支援対象のキーワードは「イノベーション(革新性)」で、未来の英国社会に貢献する革新的な才能を発掘すべく、草分け的な経営企画、ユニークな発明、国民の健康や科学技術に関する理解を増進するプロジェクト、文化芸術から生まれる革新的なビジネスモデルなどに対して「投資(investments)」と呼ぶ財政支援を行っている。
2007年6月にはブラウン政権発足の際の省庁再編で「イノベーション・大学・技能省」が組織されたことにより、NESTAはその所轄機関となり、イノベーション政策を推進する部門を強化している。以来、NESTAは他の行政機関とは一線を画し、英国社会の「革新性」を育む機関として、財政的な支援のみならず同機関に所属する各分野の専門家によるコンサルテーションやコラボレーションを行うなど、独自事業を展開している。
科学、IT、産業、経済、金融、医療、社会制度、教育の各分野の詳細プログラムについては、ホームページの「プログラムポートフォリオ」(
http://
文化/芸術に関する助成については、芸術関連団体およびそれを運営する個人を対象とし、単なる経済支援に留まらず、組織や観客育成のためのユニークかつ実践的な取り組みを行っている。以下は主なプログラム例。
- クローレ・フェローシップス
- クローレ・フェローシップス(Clore Fellowships)は、NPOと民間営利企業とを結ぶ革新性と創造性を育む芸術、文化、文化遺産に大きな役割を果たす団体を支援するもの。経済活動の一環として文化と芸術、革新性と創造性を結びつける活動に支援をする「芸術と創造的経済フェローシップThe Arts and Creative Economy Fellowship」と、「起業文化団体フェローシップEntrepreneurial Cultural Organizations Fellowship」を通して、芸術文化セクターから産まれる新たなビジネスモデルを最大限活かす起業精神をもった取り組みを推進する。
- 芸術における革新性
- 芸術における革新性(Innovation in the arts)プログラムでは、主にロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの組織改編プロジェクトを支援している。英国の舞台業界でカンパニーの運営においてはリーダー格である彼らのビジネスモデルを確立し、その事例を新たな分野のマネジメント手法として活かすべく、彼らの経営方針を研究対象とし、今後に活かすべく詳細な記録、分析を行っている。
- スウォームトライブ
- スウォームトライブ(Swarmtribes)プログラムとは、ネットワークを利用した新しいタイプのプラットフォームで、新人のミュージシャンがファンを増やすための一方法論を支援するもの。地元のミュージシャンにとって、10、20人のファンを得ることは簡単だが、それを順調に増やしていくことは不可欠。財政的な支援ではなく、ファン同士のコミュニケーションの拡充を図り、その後の集団マネジメント手法の確立に挑むもの。具体的には、SNSなどを利用し、ファン同士のインターアクションを促進する取り組み。
上記のように、芸術文化においても、経済、技術のイノベーションを駆使した、広く未来の社会に対する還元をにらんだ投資を行いながら、分野にまたがる革新性を育む機関いう意味で、NESTAは常にユニークで斬新なプログラムを展開している。

Data:
英国国立科学・技術・芸術基金
National Endowment for Science, Technology and the Arts (NESTA)
Address:
1 Plough Place, London EC4A 1DE United Kingdom
Phone: +44 (0) 20 7438 2500
Fax: +44 (0) 20 7438 2501
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http://www.nesta.org.uk/